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運動における「発揮と吸収」の吸収要素がもたらすスポーツ動作への貢献

スポーツにおいて発揮と吸収はパフォーマンスを左右するとても大切な動作と考えています。
日常で例えるなら
「走る」という動作が発揮
「止まる(ストップ)」という動作が吸収になります。
これらは聞きなれない言葉かもしれませんが、無意識でも必ず起こっている動作になります。

恐らくアスリートであれば「発揮」の部分は意識をしたことがあるのではないかと思います。
いわゆる「力を出す!」のようなイメージをしているかと思います。

しかし、「吸収」ということまで意識しているアスリートは実は少ないのではないかと考えています。
「吸収(ストップ)」ということは、身体や重心が適したポジションになければ正確に行うことはできません。

吸収が上手くできている人をイメージしやすく例えるならば
・サッカーでの切り返しで全くぶれない
・テニスで左右にボールを振られても正確に反応し打ち返す
・ラグビーで正面からのタックルを回避
・ジャンプからの着地でピタっと止まる

など、ほとんどのスポーツ場面で貢献する動作になります。
逆に、吸収が上手くできていない人は切り返し動作で身体がぶれたり、次の動作への移行が遅れてしまうことなります。
また、吸収が上手く行えることにより溜めたエネルギーを効率よく伝達することが可能になります。

つまり、いくら「発揮の部分」ができていたとしても「吸収」が疎かになっていてはスポーツの場面ではかなりの損をしてしまうということです。

そこで本記事ではスポーツ動作時における「発揮と吸収」の「吸収」要素に注目し

①どのような動作が必要なのか

②改善トレーニングの紹介

③日常で意識するポイント

の3つに分けて解説します

①どのような動作が必要なのか

今回「吸収」の部分で一番の要となるのが「股関節」の使い方になります。
前提として、股関節は球関節ですので、前後左右に動かすことが可能となり可動域が多い関節です。
可動域が広いという利点がある以上、それを上手く使えるようになるということはとても重要になります。
そして今回のブログで取り上げる動作としては股関節の「引き込み」になります。
これをヒップヒンジ(スクワットのようにお尻を引く動作)と呼びます。

「股関節を引き込む」と聞くと単純と思うかもしれませんが、これを正確に行えている人は意外と少ないです。
この引き込む動作に関しては単にお尻を後ろに引けばいいという単純な動作ではなく
その動作に合わせて脊柱や足首、膝関節等が上手く連動することがポイントになります。
股関節の使い方だけが上手くても、身体全体が連動できていないと重心はブレてしまいます。
(基本的に股関節の使い方が上手い選手は身体の連動能力も高い傾向がありますが)

②改善トレーニングの紹介

股関節の引き込みによる「吸収」を向上させることができる簡易的なトレーニングを3つ紹介します。
また、しっかり吸収することができても、次の動作への移行が遅れてしまうと意味がなく
「次の動作へ素早く繋げられるようになる」というのが重要になります。
この時に大事なのが、着地時の「腕の使い方」になりますのでそこも合わせてお伝えいたします。

【ドロップスクワット】
垂直方向からの力を吸収する練習


やり方
・台(高さ15〜30cm程度)の上に立つ。足幅は肩幅程度。
・台から飛び降りるように着地する。この時、両足同時に着地するように意識する。
・着地と同時に股関節を引き込み、ヒップヒンジの姿勢を作る。※同時に腕は身体の後ろへ位置させる
・足だけでなく身体全体で衝撃を吸収するイメージを持つ
・背中は丸めず、真っすぐ(真っすぐのまま角度が前に倒れることはOK)
・着地後に一度静止をして、元の姿勢に戻る。
・5~10回を1セットとして、3セット行う。

ポイント
・ぐらつきを抑えることに意識を向けず、股関節の引き込みを意識する
・視線は前方に向ける(本来は脊柱の角度に対し真っすぐが理想ですが、今回は次の動作への移行が主となる為)
・慣れてきたら、台の高さや回数を調整して行う(同じ内容でやり続けると能力の向上より「動作の慣れ」になってしまう為)

※注意点
股関節の引き込みが上手くできていない場合、着地時にぐらつきが発生します。
ぐらつきが無いように見える時でも、実際には足首等の末端の力で無理やりブレを抑えているケースが多いです。
この場合「意識的に固めてしまっている」という状況になるので、パフォーマンスに関してはマイナスに働きます。
一番の理想としては、必要最低限の力で楽に静止できる状態になります。

【サイドランジ】
横方向からの力を吸収する練習


やり方
・両足でまっすぐ立った姿勢から片足を横方向へ大きく踏み出す
・着地と同時に片方の股関節を引き込む(右方向へ踏み出したら右股関節を引き込む)※腕も同様に右後方へ位置させる
・一歩で元の位置に戻る(しっかりと軸足に乗る)
・5~10回を1セットとして、3セット行う

ポイント
・踏み出した足は広すぎず、狭すぎず、コントロールしやすいスタンスで行う。
・メディシンボールやプレートを保持して行うと腕の使い方がわかりやすい
・地面を押して戻りきる際にはしっかりと反対脚(軸足)に重心を乗せる
・股関節を引き込む際に胸椎(胸)を少し捻る(右方向に踏み込みであれば右に捻る)

※注意点
胸を捻るタイミングと股関節を引き込むタイミングはマッチさせること。
深くしゃがもうとしすぎて股関節があまり機能せず膝がメインで地面を押すことがないように注意

【サイドステップ】


やり方
・メディシンボールやプレートを保持して立った状態から横方向へジャンプする
・片足で着地し、サイドランジ同様に股関節を引き込み、胸椎を回旋させる
・反対方向へジャンプし、再び股関節の引き込み、胸椎の回旋を行う
・6~10ステップを1セットとして、3セット行う

ポイント
・サイドランジよりも横方向への力が強いので、無駄な力を入れてしまうとブレてしまう
・腕を後方へ引くタイミングを合わせないとブレやすい

※注意点
遠くに跳ぼうとしすぎると変に力が入ってしまうので、コントロールできる範囲で行う

応用編【吸収→発揮】
一度吸収した状態から発揮までの流れを繋げて行う。

動画ではサイドランジ→メディシンボールスローを例として紹介(横方向の力を吸収→発揮)
下記のように様々なバリエーションでも実施することが可能です。
・(発揮)→(吸収)→(発揮)
・ジャンプ→ストップ→ジャンプ
・ジャンプ→ストップ→ダッシュ
・ステップ→ストップ→ダッシュ
・ダッシュ→ストップ→ジャンプ
自身のスポーツの場面で考えられるシーンに置き換えてトレーニングすることをお勧めします

③日常で意識するポイント

・普段の立っている姿勢、歩く際に自分の体重がどこに乗っているのかを考えるようにする。

・片足に重心を乗せてしまう癖がある方は、その時に股関節に重心を乗せる意識を持ってみる。

こういった身体の機能、使い方というのはいくら練習中だけ意識したところで、普段の日常生活で意識ができていなければ崩れてしまいます。
「どれだけ日常に落とし込めるか」これに尽きます。

ぜひ日頃からご自身の身体について意識を向ける習慣を取り入れてみてください。
どれだけ当たり前にできるかによって、パフォーマンスは変わるということを頭に入れて生活していただけたらと思います。

道上 雅晃

道上 雅晃

大手ジムに入社後、わずか1年未満でトレーナー上級ランクに合格。 その後5年間にわたり、一般の方からアスリートまで幅広く指導に携わる。 自身はやり投げ選手としても活躍し、 社会人時代:全日本実業団4位 大学生時代:日本学生個人選手権大会3位 高校生時代:インターハイ5位 という好成績を収める。 さらに、プロ野球選手の自主トレにも参加し、トレーナーとしての実績を積んできた。 現在は瀬戸内ローズフィールドを拠点に活動中。

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